サステナビリティは「善意」ではなく、経営の選択である

詰め替え用のシャンプーが売れるのは、安いからだ。古着が注目されるのも、コスト意識と環境意識が重なっているからだ。消費者にとってわかりやすい。合理的でもある。しかしこれを「サステナビリティ経営」と呼ぶのは、少し違う気がしている。

コスト還元型の施策は、消費者に「納得」を与える。しかし「好き」にさせるかどうかは、別の話だ。

2024年11月、英国と米国の約2000人を対象に行われたStreetbeesの調査が、興味深いデータを示している。「ブランドを愛する理由」として最も多く挙げられたのは倫理的な企業姿勢(40%)で、サステナビリティへの取り組みがそれに続いた(37%)。一方で、有名人やインフルエンサーとの提携を重視する消費者は3割台にとどまり、「あまり重要ではない」と答えた人の方が多かった。

つまり消費者は、「環境にいいから安く買う」と「この企業の姿勢が好きだから選ぶ」を、明確に使い分けている。前者はコスト合理性の話で、後者はブランドへの共感の話だ。

投資家の側でも、似た構造が見える。EYが2024年に行った機関投資家350人への調査では、78%が「ESGへの投資は短期利益を損なっても行うべき」と回答している。ところが同じ調査で、企業の53%が「投資家からの短期利益圧力がサステナビリティ投資を妨げている」と答えている。言っていることとやっていることの間に、大きな隙間がある。

この隙間こそが、サステナビリティ経営の核心的な問題だと私は思っている。

「善意」としてのサステナビリティは、語ることは容易い。しかし短期利益との葛藤の中で、一貫した選択を続けることは容易ではない。だからこそ、それができている企業は少ない。そして少ないからこそ、際立つ。

LGT Capital Partnersが2024年に行った調査では、ESG基準を7年以上投資プロセスに組み込んできた機関投資家の71%が、リスク調整後のリターン向上につながると確信している。サステナビリティは「善意のコスト」ではなく、長期的な資産防衛として機能しているという認識が、投資家の間に根付きつつある。

サステナビリティが経営の資産になるのは、「環境にいいことをしている」からではない。困難な選択の場面で、それでも一貫した判断を積み重ねてきた企業だからだ。それはちょうど、ブランドが「見せ方」ではなく「意思決定の積み重ね」であるのと、同じ構造をしている。

参照

- Streetbees, Brand Love Index (2025年1月): https://thewisemarketer.com/brands-must-break-up-with-influencers-in-2025-reveals-new-consumer-brand-love-index/

- EY Global Institutional Investor Survey 2024: https://www.ey.com/en_gl/insights/climate-change-sustainability-services/institutional-investor-survey

- LGT Capital Partners, ESG Investor Survey 2024: https://www.lgtcp.com/esg-investor-survey-2024-main-findings

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ブランドは「見せ方」ではなく、企業の意思決定である【後編】